コラム

シャープ、減資に見る大企業と中小企業の税務

5月8日、シャープが1200億円以上ある資本金を1億円に減資することを発表した(注:すみません、この記事を書いた11日現在では正式発表ではなく検討段階のようです)。なぜこのようなことをするのか、税理士なので嫌ってほど理解できるが、それでもやはり、随分思い切った決断をしたものだとは思う。先のコラムでも触れたことがあるが、税制上は資本金1億円超の法人を大法人、1億円以下の法人を中小法人と区分する。中小法人に該当すれば税制上色んな優遇措置を受けることが可能だ。これも先のコラムで触れたが27年度税制改正の内容は特に赤字の大法人にとっては極めて厳しいものとなった。欠損金の繰越控除の引き下げや法人事業税外形標準課税の拡大である。これを受けての大幅減資なのであろう。 この度シャープが行う予定の減資は純資産の部の各項目の係数の異動であり、この取引だけでは既存株主の持ち分は実は変わらない。と言っても市場には嫌気されたようで事が公になった後初の市場である本日は一時ストップ安を記録してしまったようだ。税理士としてはこの決断、評価できるが、やはり、一般的にはそう反応されてしまうのか…。 この取引で税務的にはどう変わるか。法人事業税資本割を例にとって話してみよう。シャープの27年3月期3Q連結決算の数字を見ると資本金が約1200億円、資本剰余金が約960億となっている。単純に試算すると資本割の税額だけでも4億3千万円に上る。いくら赤字だろうがこれは問答無用に払わねばならない。この資本割、27年度の税制改正で現行の0.2%が27年度から0.3%、28年度からは0.4%となることが決まっている。シャープの数字を使えば2年後は8億6千万円もの税額となる。シャープのような規模の会社にすれば本来は8億円なんて大したことないのかもしれないが、現在の財務状態を考えれば決して馬鹿にしてはならない数字である。この資本割が発生する法人事業税外形標準課税の対象は「資本金」が1億円超の法人。外形標準課税の対象の判定はあくまで「資本金」の額をもとに判定し「資本金」の額は用いない。だからシャープはこの減資で外形標準課税の対象から外れる見込みだ。減資しても純資産全体の数字は変わらないし、株主の持ち分も変わらないが、実に数億円以上も節税可能となってしまうという話なのだ。まさに名より実を取ったということだ。ちなみに資本割自体は税務上の資本金の額にかかってくる。この資本金の額は無償減資を行っても変わらないが(ここのところは非常に専門的な話なので、ふ~ん程度に読んでください)欠損填補のための減資を行った場合、その欠損填補に充てた金額は特例により資本金の額から控除することが出来る。だから節税を兼ねて欠損填補のためにある程度の減資を行う企業は多かったと思うが、シャープの場合、そもそも資本割を払わなくて済む中小企業化するまでやるとは。あのシャープが中小企業、ですよ?なかなかここまでの決断は容易には出来まい。今後市場はどんな動きをするのだろうか。そしてシャープの経営再建の行方は?結果次第で大企業の「中小企業化」増えるかもしれないなぁ。いやぁ~ほんと、こんな簡単かつ単純かつ効果がデカい技はなかなかないわけですよ。でもねぇ、やっぱりねぇ、市場の反応とか取引先との関係とか考えたらねぇ、ハードル高いんですわ。どっか一度やってみてくれないかなぁと考えてたら、まさかのニュース。しかもあのシャープ。やってくれるゼ!株主総会で無事承認されるかな?しかしね。この節税策、あんまり流行っちゃったらお上も困るわけで、いずれ何らかの封じ込め策が出てくることも考えられる。資本金の額での判定に変えるとか、あるいは中小企業にも外形標準課税を導入するとか(元々これは検討されてるしね)。そうなるとこちらが苦しいな。異例と言われるこの決断。日本の税務を揺るがすか??とにかく今後も目が離せない。

※欠損金の繰越控除の制限の話も時間を見ながら書きたいと思っています

※※続編書きました。記事はコチラ

 

 

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